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2013年6月25日 (火)

インドネシアの火事のこと

1box for 2trees & 20ha project あずま です。

本日6/25(火)の日本経済新聞にも記事がありましたが、インドネシアでの森林の「野焼き」が原因で発生した煙が、シンガポールやマレーシアに流れ込み、大気汚染となっています。

シンガポールに知人がいるひとの話しでは、視界が悪くなるくらいひどくて、マスクも売り切れになっているそうです。

また、報道によると、インドネシアからの煙の発生源はスマトラ島であり、「野焼き」は農地を開墾するために行われている模様であり、人口の雨を降らしたり、行政も消火活動に追われているようです。。

インドネシアでは農業へ従事する割合がまだ高く(40%程度)、油ヤシ・米などが主な作物であり、スマトラ島ではあらゆる場所でそれらを見ることができ、私が訪れる産業植林の現場でも、保護林の現場でもどこにでもある景色です。

特に、油ヤシ農園については、世界の旺盛な食糧事情を背景とした、大規模な開発がされています。油ヤシは単位面積当たりの収穫量が、ゴムやパルプ材と比べて高いため、裏庭でも育てられるくらいに人気の作物です。

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▲遠くに見えるのは、紙パルプ材のプランテーションです。地域の農民が焼畑をしようと、火をつけたところ、延焼して数百ヘクタールが焼失し、消火には2週間かかったそうです。消火作業は、地方政府に認められた地域住民と企業セクターで行われたそうです。左下に見えるのは、既に植えられている油ヤシの苗です。(2010年12月16日 リアウ州にて撮影)

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▲この土地は、2004年に大規模な火災があり、消火には2カ月が必要だったそうです。この地域は泥炭地であり、泥炭が燃えることで大量のCO2が発生します。泥炭は深さが数メートルあり、表面を消火しても、火種が泥炭の奥深く残っていることがあり、その火種の場所を特定することはとても難しいそうです。この火災後の土地(グラスランドと呼ばれている)が紙パルプ産業の植林会社に、用地として提供がされたそうです。放置しておけばまた泥炭が燃える可能性もあり、植林をすることでCO2の吸収にも役立ちます。泥炭地は、養分が豊富ですが、酸性土壌と水位の管理が難しいらしく、ここで行われている紙パルプ材の植林には、ボゴール農業大学や北海道大学が研究材料として参加していました、(2010年10月7日 南スマトラ州にて撮影)

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▲アスクルが取り組む、森林修復再生プロジェクトである "20ha project" の最初の候補地は、「行政や企業が、土地を奪う」との懸念を抱いた地域住民によって、視察時には違法に油ヤシが植えられていました。彼らは農作物を植える前に、土壌の殺菌と中和のために、「焼畑」を行います。焼畑は、伝統的な農法であり、彼らは農業によって生計を立てています。(2011年5月9日 リアウ州にて撮影)

 

 

インドネシアが隣国に与える被害が報道される一方で考えるのは、消火をするだけで根本的な課題解決はできないということです。
「なぜ」は5回繰り返して考えてこそ、原因究明と解決案が出てくるとよく言います。

この問題も、同じです。

"Alternative Livelihood"

代替となる複数の仕事と教育がセットで提供されないと、解決には向かわないのでしょう。
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We think "On The Ground".
Shunichiro AZUMA in TOKYO.

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